[外食レストラン新聞(日本食糧新聞社)] (2007/12/01)

読者の中に、「デジタルカメラを使ったことがない」という方はいるだろうか。恐らく、ほとんどいないのではないかと思う。今や、ケータイに付属するデジカ メですら500万画素などという仕様が当たり前になっている時代だ。そうしたケータイに付属したものなども含めれば、一家に1台どころか、一家に数台のデ ジカメが存在しているのが普通だろう。

この連載のタイトルにもなっている「IT」という言葉は、ある意味で「デジタル」と言い換えることもできる。そのデジタル機器のうちでも最も身近なもののひとつがデジカメだ。そこでデジカメを、「写真を撮るための道具」ではなく、ビジネスツールという視点で考えてみよう。

例 えばデジカメの写真を「記録データ」として活用するという方法がある。フィルム写真の時代には、いちいちプリントしないと記録データとして残せなかったた め、こうした使い方は手間とコストがかかったが、デジカメなら大量のデータを保存しておいてもほとんどコストがかからない。こうした方法の例として、「外 出先で見かけた看板などの情報を記録」「店舗の売場でチェックしておきたい商品を記録」「雑誌や新聞などの記事の必要部分だけを記録(この場合、マクロと いう接写機能があると便利)」などは皆さんも使ったことがあるかも知れない。

では、これを店舗で活用してみよう。例えば、食材の納品時に 撮影すれば、その場で検品できない場合にも後で確認できる。宴会の終わった客席を撮影しておけば、忘れ物などのトラブルを簡単に証明できる。厨房機器など の調子が悪い時、必要な場所を撮影してメールで送れば、電話でも説明がずっと簡単になる。さらに動画(ビデオ)撮影の機能を使えば、そのまま調理の手順や 清掃の方法などをスタッフに簡単に教えるマニュアルになる。等々、そんな活用法が考えられるはずだ。

最後に、飲食店で便利なデジカメでの 料理写真の撮り方について、簡単なコツをいくつかお教えしよう。プロが撮る場合ではなく、あくまで素人がデジカメで撮るためのテクニックだ。まず、撮影に はフラッシュを使わないこと。できれば天気の良い日の午前中~午後2時ぐらいまでの自然光(太陽光)で撮影する。朝は早くても大丈夫だが、午後遅い時間帯 は太陽光の性質が変わるのでキレイに撮れない。窓際など、自然光が充分に入る場所で必ず三脚を使って撮影する。三脚は3千円も出せば、量販店でそこそこ使 えるものが購入できる。原則として撮影する場所は固定し、あらかじめダミーの料理で画面をチェックして、一度セットしたカメラの位置は動かさず、アップに したい場合や全体を写したい場合は、カメラのズーム機能を使うのがポイントだ。カメラの上下位置は三脚の機能で調節する。大きな無地の紙を買ってきて敷 き、後ろ側を折り曲げずに垂直に立ち上げるか、見栄えの良いクロスを敷く。これだけで、かなり違った写真が撮れるようになるはずだ。カメラの性能の差は、 実はあまり大きな問題ではない。ぜひチャレンジしてみて欲しい。

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