いまや、ブログについて知らないという日本人はほとんどいないだろう。すでにインターネットの黎明期を知らない若い世代のあいだでは、インターネットのホームページとブログは同じモノだという認識にすらなりつつある。

ブログとは本来、インターネット上で公開する日誌のようなスタイルのホームページのことだ。「Webの日誌(Log)」という意味で「Weblog(ウェブログ)」と呼ばれたものが略されて「Blog(ブログ)」と呼ばれるようになった。現在では大企業や大手メディアですらブログ形式のホームページを制作しているが、その大きな理由は情報の追加更新がとても簡単なこと、そしてコメントやトラックバックといった仕組みによって、ネットワークが広がり集客につながることが挙げられる。

さて、そのブログの中でも、食べ物や料理をテーマにしたものは特に人気が高い。もともと、インターネットと食べ物というのは意外に相性が良いことが知られている。ブログは「日記」の形式を取っているため、「食べ歩き(外食でのグルメ記録)」「お取り寄せ(家庭でのグルメ記録)」「料理・レシピ(考えた・作った記録)」「食へのこだわり(食材や料理にかんするウンチク情報)」といった具合に、多くの人々の興味をそそるようなあらゆる「食の記録」がブログとして成立するのだ。

筆者が仕事でお付き合いしているある女性は、いわゆるフードコーディネーターのような仕事をしているごく普通の家庭の主婦なのだが、2年ほど前から料理に関するブログを始めた。努力家の彼女は、子どもとご主人が寝てしまった深夜に毎日ブログを更新していたが、いつしか料理ブログの世界では評判となり、こうした料理ブログのランキングサイトで軒並み第1位を獲得するようになった。料理ブログが3000件以上登録されている中で、1年半以上にわたって毎日のように第1位を継続するのは並大抵のことではない。ついには有名出版社から料理本が出版され、さらに今後も数冊の出版を控えている。直近では、1日あたりのアクセス数が多い日で6万数千件を数えるようになり、ブログ開設からの累計アクセス数は1000万を越えようとしている。

現在、彼女には多くの企業やマスコミなどから食の仕事の依頼が殺到しているが、実は料理ブログの世界では、こうした状況はさほど珍しいことではなく、同じように有名になったブロガー(ブログを書く人)は何人も存在する。
筆者のオフィスの女性スタッフも、食育インストラクターという肩書きを活かして半年ほど前から食育を題材にしたブログを始めたが、テーマを決めた料理のレシピを掲載するようになってからアクセス数が増えたという。最近では毎日のように新しい訪問者がコメントを残してくれるようになったらしい。彼女もやはり主婦だが、やはりご主人が寝た後の深夜に、眠い目をこすりながら毎日パソコンに向かっているそうだ。

もちろん、インターネット上での集客と実際の店舗への集客は次元が違う。しかし多くの人々を集める魅力という意味では、ブログもビジネスと変わらない。あなたの店には、そんな魅力があるだろうか。

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